宇都宮観光ガイド|大谷石文化・餃子グルメ・自然を楽しむ完全ガイド

古賀志山

栃木県宇都宮市の北西部にそびえる古賀志山は、標高582.8メートルながら北関東屈指の人気を誇る低山です。日本百低山にも選定されており、その独立峰のような堂々とした山容から、多くの登山者に親しまれています。

市街地から近い立地にありながら、数十メートル級の岩壁が各所に点在し、単なるハイキングでは終わらない変化に富んだ山歩きを楽しめるのが魅力です。初心者向けのコースから上級者向けの岩場ルートまで、幅広い登山スタイルに対応している点も人気の理由といえるでしょう。

古賀志山の特徴と魅力

古賀志山は御岳や赤岩岳とともに山塊を形成しており、これら全体を総称して「古賀志山」と呼ぶこともあります。低山でありながら岩場や鎖場が充実しているため、ロッククライミングの練習場としても関東地方で広く知られています。

山頂付近からの眺望は素晴らしく、東稜展望台や御岳からは日光連山、那須連山、宇都宮市街地を一望できます。天候に恵まれれば、遠く富士山や筑波山まで見渡せる日もあります。

多彩なアウトドアフィールド

古賀志山周辺は登山だけでなく、多様なレジャー活動の拠点となっています。ロッククライミングの練習場やパラグライダーの発進場が整備されているほか、山麓にある宇都宮市森林公園にはサイクリングコースも設けられています。

特に注目されるのが、毎年10月に開催される「ジャパンカップサイクルロードレース」です。国内最高峰の自転車ロードレースとして、国際的な選手たちも参加する一大イベントとなっています。

登山コースと難易度

古賀志山には複数の登山ルートが整備されており、体力や技術レベルに応じて選択できます。ただし、近年は滑落事故が相次いでおり、栃木県山岳遭難防止対策協議会によって「中級者コース」に格上げされました。低山だからといって油断は禁物です。

初心者向けコース

森林公園側から登る北コースは、初心者や家族連れでも比較的安心して登れるルートです。広い駐車場が利用でき、道中には案内板も設置されています。山頂まで1時間強ほどで到達でき、日帰り登山に最適です。

上級者向けコース

中尾根コースや御嶽山から赤岩山へ続く主稜線ルートは、鎖場や梯子が連続する上級者向けのコースです。垂直に近い岩場もあり、「ミニ妙義」とも称される本格的な岩稜歩きを体験できます。これらのコースでは、ヘルメットの着用が推奨されています。

アクセスと登山の準備

古賀志山へのアクセスは車が便利です。東北自動車道の宇都宮インターチェンジから約15分、鹿沼インターチェンジから約20分で宇都宮市森林公園に到着します。森林公園には約240台分の駐車スペースがあり、登山口へのアプローチも良好です。

公共交通機関を利用する場合は、JR宇都宮駅から関東バス「鹿沼営業所」行きに乗車し、「森林公園」バス停で下車、そこから徒歩約45分です。

登山時の注意点

  • 山中には踏み跡が多数あるため、地図やGPSアプリの携帯を推奨します
  • 岩場や鎖場を通過する際は、慎重な行動を心がけましょう
  • 初心者は無理に難コースに挑戦せず、自分の技術レベルに合ったルートを選択してください
  • 春にはカタクリの群生地が見られるため、植物保護にも配慮が必要です

古賀志山の歴史と信仰

古賀志山は古くから山岳信仰の対象とされてきました。御岳山頂には御嶽神社が祀られており、弘化4年(1842年)に勧請されたと伝わっています。それ以前から、男滝・女滝・大日窟・赤岩山の風穴は地域住民にとって聖地として崇敬されてきました。

山名の由来については、崩落崖を意味する「扱がす」や「転かす」が転訛したものという説があります。歴史ある山として、現在も多くの登山者や地域住民に愛され続けています。

季節ごとの楽しみ方

古賀志山は四季を通じて異なる表情を見せてくれます。春にはカタクリやアカヤシオが咲き誇り、夏は緑豊かな森の中でのハイキングが楽しめます。秋には紅葉が山肌を彩り、冬は空気が澄んで遠望が効きやすくなります。

ただし、標高が低いため真夏は暑さ対策が必要です。また、冬季は日没が早いため、早めの行動開始を心がけましょう。森林公園のゲート開放時間は季節によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

シーズン 見どころ 注意点
春(3~5月) カタクリ、アカヤシオの花 植物保護に配慮
夏(6~8月) 緑豊かな森林浴 暑さ対策、水分補給
秋(9~11月) 紅葉、澄んだ眺望 日没時間の確認
冬(12~2月) 遠望が効きやすい 早めの行動開始

古賀志山は宇都宮市民にとって身近な里山であると同時に、本格的な岩登りも楽しめる奥深い山です。低山ながら侮れない険しさを持ち合わせているため、準備と心構えをしっかりと整えて、自分に合った登山スタイルで楽しんでください。